2019-04-13

[new music] Anderson .Paak, Intellexual (Nico Segal & Nate Fox), + more

・Anderson .Paak - 'Ventura' (Aftermath Entertainment/12 Tone Music / 2019-04-12)



アンダーソン・パークが予告どおり、『Oxnard』からわずか半年足らずで、「ビーチ・シリーズ」の完結となる新作『Ventura』を発表しました。  Amazon  iTunes

『Oxnard』同様にドクター・ドレー(Dr. Dre)が共同エグゼクティヴ・プロデューサー、そしてミックスを担当。すでにトラックリストで明らかになっていたとおり、ブランディ(Brandy)、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway)、ジャズミン・サリヴァン(Jazmine Sullivan)、スモーキー・ロビンソン(Smokey Robinson)(影は薄いですが)らも参加と、ヒップホップ色の強かった『Oxnard』に比べ、本作はR&B色が強い内容に。
今回はフリー・ナショナルズの一員でもあるキャラム・コナー(Callum Connor)や、ポーモ(Pomo)らが制作に参加しており、『Malibu』に近い感じと言えるでしょうか? 他にアンドレ3000 (Andre 3000)、ファレル(Pharrell Williams)、故ネイト・ドッグ(Nate Dogg)など、参加面子は相変わらず豪華です。



なお、当初ドレーは『Oxnard Ventura』というタイトルを予告しており、そもそも同時進行だったようですが、朴さんの発言によると、『Ventura』では制作面でより自由にやらせてもらえたのだそう。





・Intellexual - 'Intellexual' (Fantasy Records/Concord Music Group / 2019-04-12)



ソーシャル・エクスペリメントのニコ・シーガル(Nico Segal)とネイト・フォックス(Nate Fox)によるデュオ=インテレクシュアルのデビュー作が到着。  Amazon  iTunes

ヴィック・メンサ(Vic Mensa)、ロウリー(Raury)、ノックス・フォーチュン(Knox Fortune)、ベニー・シングス(Benny Sings)、ソフィア・ブラック(Sophia Black)や、元キッズ・ジーズ・デイズのリアム・ケザー(Liam Kazar)というゲスト勢もさることながら、アディショナル・プロダクションでピーター・コットンテイル(Peter Cottontale)、フランシス・アンド・ザ・ライツ(Francis and the Lights)も全面協力。
さらにソングライティング・クレジットを覗くと、“Boca”にエスペランサ(Esperanza Spalding)、“Sing It Louder”にアディ・スーレマン(Ady Suleiman)やカーター・ラング(Carter Lang)といった名前もあり、実にソーシャル・エクスペリメントらしい作品と言えそう。

2016年にニコ・シーガル&ネイト・フォックスと驚きのコラボをしたポール・サイモンを始め、プリンス、フランク・オーシャン、ベニー・シングス、フランシス・アンド・ザ・ライツといったソングライターたちにインスピレーションを受けた作品だとしています。また、米Billboard誌では『Surf』との違いについて説明しており、『Intellexual』のアルバム・アートワークになった絵はかなり昔からあり、この絵にインスピレーションを受けながら制作したものだそう。アートワークと言えば、公式サイトでも曲ごとのアートワークを公開しており、参加した面々をそれぞれの色に分けたアートになっているのが面白いですね。
加えて、『Surf』に比べて『Intellexual』はより音の方向性を明確にして制作したとしています。

なお、ユニット名となったインテレクシュアルは、4月1日に先行発表されていたものの、『Intellexual』未収録となった美しいバラード“Intlxl”の時に思い浮かんだ言葉(造語)なのだとか。この曲は、「I love you 'cause your mind」(あなたを愛している。あなたの知性が好きだから」と歌われており、これが「intellexual」の意味だと説明しています(しかし歌っているのは誰だろう?)。









・Vulture St Tape Gang 'Mature Themes for Childish People' (Wondercore Island / 2019-04/12)



ハイエイタス・ケイヨーティらを抱えるWondercore Islandが送り出すブリスベンの3人組、ヴァルチャー・ストリート・テープ・ギャングのデビュー・アルバムがついに。
Wondercore Islandの第一弾レーベル・コンピ『Wondercore Island Mixtape #1』(2013年)に無題のビートを5曲提供していたことからも分かるとおり、同レーベルの初期から活動していたVSTGは、『Mick's Nuts』などビート・テープを散発的に発表。
しかし2017年に変わった直後に、ハイエイタスのポール・ベンダー(Paul Bender)を共同プロデューサーに迎えた“1st World Problem Solved”を唐突に発表。メンバーのひとりであるレイニアス(Lachlan "Laneous" Mitchell / Lane McHypeman)のビラル~ディアンジェロ~プリンス的な歌声を全面に出し、ネオ・ソウル~フリー・ジャズ~ヒップホップが絶妙に融合されたこの曲で正式にデビュー。
同曲はジャイルズ・ピーターソンの『Brownswood Bubblers Twelve』にもピックアップされるなど、注目を集めたのですが、その後しばし沈黙。ヤキモキさせられていたのですが、ようやく“1st World Problem Solved”から2年以上経ってデビュー・アルバムが届けられました。  Amazon  iTunes



首を長くして待ったこのデビュー・アルバム、ポール・ベンダーがメンバーと共に全面プロデュース。難解な作品になるやも?と少し構えていましたが、思った以上にキャッチーでポップ。サー・ラーを思わせるコズミックな音など、ところどころLA色が感じられるサウンドは、ポール・ベンダーの趣味もあるのでしょうか。シャフィーク・フセイン最新作『The Loop』やアンダーソン・パークの『Malibu』にも通ずるような感覚もあり。プレスリリースでは「変わり種のネオ・ソウル、コズミック・ラップ、自虐的パーティ・ジャム」と形容されていますが、まさにその通りの逸品。

なお、ネイ・パームが「天才」と賛辞を贈るレイニアスは、デビュー・アルバム『Monstera Deliciosa』を(ジョーダン・ラカイらを擁する)Soul Has No Tempoから5月10日にリリース予定(※日本では4月3日に先行発売済)で、こちらもポール・ベンダー全面プロデュースです。
ちなみにレイニアスは、ハイエイタス・ケイヨーティ関連のアートワークを手がける才能の持ち主であり、『Tawk Tomahawk』、『Choose Your Weapon』のあの印象的なイラストも彼によるもの(※前者ではJames "Laneous" Lane名義、後者ではLaneous "Lame-boy" The Lunchboxer名義)。





・Leela James & The Truth Band - 'Are You Ready' (4/4 Sound/Entertainement One U.S. / 2019-4-12)



リーラ・ジェイムスが、ザ・トゥルース・バンドとのコラボEP『Are You Ready』を発表。  iTunes

トゥルース・バンドは、BJ・ザ・シカゴ・キッドのグラミー候補曲“Turnin’ Me Up”を手がけたジェイラス“J・モー”モージー(Jairus "J. Mo" Mozee)とデイヴィッド“デイ・デイ”ハードン(David "Day Day" Haddon)のコンビが在籍する、西海岸のロック~フォーク・トリオ。
このコラボEPは、リーラの歌声が映えるルーツ・ロック~ブルーズ作品となっています。2週間ほどで出来上がった作品なのだとか。





・LSD - 'Labrinth, Sia & Diplo presents... LSD' (RECORDS/Columbia Records / 2019-04-12)



ラブリンス、シーア、ディプロによるプロジェクト=LSDのフル・アルバムが到着。昨年5月のお披露目曲“Genius”から“Audio”、“Thunderclouds”、“Mountains”、そして今年1月に発表された“Genius”のリル・ウェイン(Lil Wayne)参加バージョン、3月に発表されたリード曲“No New Friends”と既発の6曲を網羅し、未発表新曲は4曲に留まります。24日発売の日本盤には各種リミックスがさらに追加される模様。  Amazon  iTunes

元々はラブリンスとシーアでのセッションが予定されており、そこにディプロが招かれたことがきっかけとなってグループ結成に至ったのだとか。
ザ・ウィークエンドなども手がけるラブリンスが、ディプロと共に全面プロデュースしており、メジャー・レイザーのジュニア・ベンダー(Jr. Bender)や、メジャー・レイザー最大のヒット曲のひとつ“Cold Water”を共に手がけたキング・ヘンリー(King Henry)といったディプロ人脈の面々も参加。またラブリンス屈指の名曲“Jealous”でオーケストレーションを担当したグスターヴ・ラドマン(Gustave Rudman)、同じくラブリンスと共同プロデュース歴のあるナサニエル・レドウィッジ(Nathaniel Ledwidge)らも補佐しています。

ディプロもラブリンスについて、知名度には欠けるものの最高峰のプロデューサー/ソングライターだと太鼓判を押していますが、これをきっかけにアーティストとしてのラブリンスの認知度も高まってほしいもの(母国イギリスでは、全英1位となったエミリー・サンデーとの“Beneath Your Beautiful”を含め、数々の全英トップ10ヒットを放っている存在なのですがね)。