2019-04-06

[new music] Jordin Sparks & Elijah Blake, Sebastian Mikael, Khalid + more

・Jordin Sparks & Elijah Blake - '1990 Forever' (Rkeytek Music/DFMedia Records / 2019-04-05)



先月、「199∞」名義で突如デュエット曲“Real Love”を発表していたジョーダン・スパークスとイライジャ・ブレイクが、デュエットEP『1990 Forever』を発表。 Amazon  iTunes



メアリー・J・ブライジの“Real Love”を参照した“Real Love”は未収録ですが、ハイ・ファイヴの“I Like The Way (The Kissing Game)”等を引用した、その名も“90s R&B”に始まり、エモーショナルな3連バラードからトラップR&Bまで聞かせる充実の4曲。最高。
以前から何度かコラボしてきた2人。今回はイライジャ・ブレイクのLAのホームスタジオで1週間ちょっとで出来上がったそうですが、今後も継続してほしいものです。






・Sebastian Mikael - 'I C U U C ME Pt. II' (Slip N Slide/Atlantic Recordings / 2019-04-05)



Slip-N-Slide Recordsと契約し、2014年の隠れ名作『Speechless』でデビューを飾ったR&Bシンガーのセバスチャン・マイケル。昨年12月にEP『I C U U C ME Part I』を発表してカムバックした彼が、早くもその続編となる『I C U U C ME Pt. II』をリリースしました。 Amazon  iTunes

アル・B・シュア“Night and Day”ネタな“Last Night”などで話題となった『Speechless』は、アッシャー~クリス・ブラウン路線の王道R&Bシンガーの新星といった立ち位置を保ちつつ、セルフ・プロデュース曲“Beautiful Life”などでフォーキーな個性を見せてもいましたが、『I C U U C ME Part I』ではディアンジェロやビラルを彷彿とさせるファンク~ネオ・ソウルが主体となっていて(見た目の変化と共に)驚かせました(レビューではミゲルやプリンスを引き合いに出されたりも)。
今回の第二弾は、さらにこの路線を追求した感触。Part 1で全面プロデュースを担ったニューヨークの若手フランキー・ラルー(Frankie Leroux)が今回も、DJ・キャンパー(D.J. Camper)らが手がけた“Time”を除く全曲をプロデュースし、ダディ・ケヴ(Daddy Kev)がマスタリングを務めているという布陣も同じです。

BETの昨年のインタビューでは、まだ音楽的に自身が未熟だったため『Speechless』では他の人にプロデュースを任せたこと、今回(『Part 1』)は「セバスチャン・マイケルを改めて紹介する」作品となったこと、70年代のソウルやファンクを主に愛聴していること、「I C U U C ME」は元々は親友と始めたアパレル・ブランドの名前で、その親友が昨年亡くなったためにタイトルにすることを決めたこと、など語っています。



セバスチャン・マイケルは、1990年スウェーデン生まれ(母親はエチオピア系)ながら、17歳でLAに移住、その後バークリー音楽院で学ぶためボストンに移るなどアメリカで音楽の才能を磨いてきた人物。2011年にミックステープ『J’Adore』を発表しており、“Beautiful Life”は元々はここに収録されていたもの。
そして元Def Jam社長のケヴィン・ライルズに目をかけられ、ケヴィン・ライルズのマネジメント会社 KWLおよび、ケヴィン・ライルズがリオ・コーエンらと共に立ち上げたばかりの300 Entertainmentとマネジメント契約を結び、またSlip-N-Slideとのレコード契約を手にするなど順調に事は運びつつも、2013年1月にシルヴィア・ローンがEpic Records傘下に立ち上げたVested In Cultureとの契約(Slip-N-Slideとのジョイント)とはうまくいかず(VICはケイシー・ヴェジーズの2015年作『Live & Grow』を最後に消滅?)、といった紆余曲折も挿んで、2014年にSlip-N-Slideから『Speechless』でアルバム・デビューを果たしました。
現在はケヴィン・ライルズや300とは関係がないようですね。







・Khalid - 'Free Spirit' (RCA Records / 2019-04-05)



「ポップの申し子」カリードが新作『Free Spirit』をついに発表。制作陣はデビュー・アルバム『American Teen』の時から一新されており、昨年のEP『Suncity』からの流れを汲む形で、チャーリー・ハンサム(Charlie Handsome)、ディジ(Digi)らがメイン・プロデューサーに。ジョン・ヒル(John Hill)もけっこう関わってますね。
他にディスクロージャー(Disclosure)、スターゲイト(Stargate)、Dマイル(Dernst "D'Mile" Emile II)、アル・シャックス(Al Shux)、マーダ・ビーツ(Murda Beats)、ヒット・ボーイ(Hit-Boy)、DJダーヒ(DJ Dahi)ら。

なお24日発売の国内盤にはケイン・ブラウン(Kane Brown)との“Saturday Night (Remix)”も収録されます。  Amazon  iTunes





・Tayla Parx - 'We Need To Talk' (Taylamade/Atlantic Recording / 2019-04-05)



アリアナ・グランデの大ヒット曲“thank u, next”、“7 rings”を始め、カリード&ノーマーニの“Love Lies”、パニック・アット・ザ・ディスコの“High Hopes”といった全米トップ10ヒットに次々関わり、売れっ子ソングライターのひとりとなっているテイラー・パークス。
映画版『ヘアスプレー』に出演するなど元々は子役として出発した彼女(女優の際はTaylor Parks表記)は、ジ・インターネットやマライアらへの楽曲にソングライターとして関わり、クリス・ブラウン“Anyway”(2015年作『Royalty』収録)へのゲスト参加などを経て、2017年にシドやカリードらも参加したミックステープ『TaylaMade』をリリース。その後Atlantic Recordsと契約し、『TaylaMade』に収録していたカリードとの“Runaway”をシングルカットする形で2018年3月にメジャー・デビューしていましたが、ついに待望のメジャー・デビュー・アルバム『We Need To Talk』がリリースされました。 Amazon  iTunes

昨年末にはアンダーソン・パーク『Oxnard』からのリード曲“TINTS”にアディショナル・ボーカルとして参加、SNLでもしっかり共演し、今年2月からはアンダーソン・パークの〈Andy's Beach Club World Tour〉に前座として同行。その間に“thank u, next”、“7 rings”の大ヒットもあり、存在感をしっかり示した中でのアルバム・デビューとなりました。
ジョーイ・バッドアス(Joey Bada$$)、ダックワース(DUCKWRTH)、コーシャス・クレイ(Cautious Clay)がゲスト参加。プロダクション面では、『TaylaMade』にも関わっていたサウンドトラック(xSDTRK)のほか、テイラー・パークスが関わった楽曲のひとつ、ジャネール・モネイの“PYNK”も手がけたウィン・ベネット(Wynne Bennett)や、SZAの『Ctrl』の大半を手がけたTDEのスカム(Pete Scum Nebula)らが支えています。





・Ady Suleiman - 'Thoughts & Moments Vol. 1 Mixtape' (Pemba / 2019-04-05)



チャンス・ザ・ラッパーやソーシャル・エクスぺリメントとのコラボで注目を集めた英ノッティンガム出身の新進シンガー・ソングライター、アディ・スーレマンが、ミックステープ『Thoughts & Moments Vol. 1 Mixtape』を発表。 Amazon  iTunes
グレイズ(GRADES)制作による三連ソウル・バラード“Strange Roses”ほどではないにせよ、全体的に昨年のデビュー・アルバム『Memories』に比べブルー・アイド・ソウル感が増した印象。詳細なクレジットは不明ですが、マヘイリア“I Missed My Ex”などで知られるマス・タイム・ジョイ(Maths Time Joy)らも制作に参加しているそう。
また、デジタルだけでなく、数量限定ながらヴァイナルも発売されています。





・Miguel 'Te Lo Dije' (ByStorm Entertainment/RCA Records / 2019-04-05)



昨年は“Sky Walker”や“Banana Clip”のスペイン語バージョンを発表してきたミゲルが、スペイン語EPを発表。

2017年作『War & Leisure』から他に“Criminal”、“Caramelo Duro”、“Told You So”のスペイン語バージョンが収録。“Te Lo Dije”と改題された“Told You So”ではニューヨークのマリアッチ・バンド=フロール・デ・トロアチェ(Flor de Toloache)をフィーチャーし、この曲のみアレンジがしっかり変わっています。
また、元々ほぼスペイン語だった“Caramelo Duro”は、原曲でもカリ・ウチス参加のクレジットはあったものの実際には彼女の歌声が聞こえないという謎の楽曲でしたが、今回はちゃんと参加。一方、カリ・ウチス(Kali Uchis)がメインを担当するverse 2は英詞が(原曲と比べ)微妙に増えており、Spanish Versionと銘打っているのがちょっと不思議だったりします。  Amazon  iTunes