・Lizzo - 'Cuz I Love You' (Nice Life Recordings/Atlantic Recordings / 2019-04-19)
リゾがついにメジャー・デビュー・アルバム『Cuz I Love You』を発表。
R&Bチャート入りするなど好評を博しているディスコ・ファンク“Juice”や、彼女の「ヒーロー」であるミッシー・エリオットとの共演が叶った“Tempo”を始め、プリンスを意識したような“Crybaby”など4曲を、彼女のボスであるリッキー・リード(Ricky Reed)がプロデュース。リッキー・リードと共にリオン・ブリッジズ『Good Thing』を手がけたネイト・マーセロー(Nate Mercereau)も補佐しています。
また、サザン・ソウル調の表題曲“Cuz I Love You”や、3連バラード“Jerome”、そして“Heaven Help Me”の3曲をX・アンバサダーズ(X Ambassadors)が手がけているほか、“Like A Girl”、“Soulmate”、“Better In Color”の3曲をオーク(Warren "Oak" Felder)が担当。グッチ・メイン(Gucci Mane)との共演となった“Exactly How I Feel”は、リアム・ペイン&J・バルヴィン“Familiar”を手がけたマイク・サバス(Mike Sabath)仕事といった陣容に。
リゾのポップネスを生かしつつ、ソウル~ファンク~ヒップホップを股にかけるアルバムに仕上がっています。 Amazon iTunes
なお残念ながら、ドナ・サマー“Bad Girls”の「トゥトゥ!ピーピー!」も引用される“Fitness”や、ジャスティン・ティンバーレイク“SexyBack”調のトラックにミッシー風ラップを乗せる“Boys”といった過去の既発シングルはいずれも未収録に。
(※5/3追記:デラックス版が5月3日に発表され、“Boys”、そして2017年に発表した“Water Me”と“Truth Hurts”、計3曲が追加されました Amazon iTunes)
・Saucy Lady - 'Supanova' (Star Creature Universal Vibrations / 2019-04-17)
monologことYuki "U-KEY" Kanesaka(金坂征広)の公私に渡るパートナーとしても知られるボストンの女性シンガー/DJ、ソーシー・レディが、アルバムとしては『Diversify』以来、およそ7年半以上ぶりとなる新作『Supanova』を発表。
彼らのファンク趣味をコアとしつつ、R&B~ジャズ~ヒップホップ/ブレイクビーツも融合したコズミックな作品に。これまで同様、ソーシーとU-KEYの全面プロデュースで、トモキ・サンダース(Tomoki Sanders)やYUMA HARA (原ゆうま)らも演奏面で助力しています。
『Supanova』には全て未収録ながら、2015年には“Sparkle & Shine”、“Meet Me Halfway”、“Together”といった80sなシングル群を発表してきたほか、今回の『Supanova』の発売元であるStar Creatureからも、ビートルズ“Help”、シェレール&アレックス“Saturday Love”、美空ひばり「真っ赤な太陽」、山下達郎「あまく危険な香り」といったカバーを収めた7インチ群のリリースで注目を集めてきたソーシー・レディ。
昨夏にはソウル・クラップ(Soul Clap)のレーベルのコンピ『Dancing On The Charles Vol. 5』に“It's All Here”というオリジナル新曲も提供、Star Creatureよりシングルカットもしていました。 Amazon iTunes
・Bell Atlas - 'the mystic' (Tender Loving Empire / 2019-04-19)
ハイエイタス・ケイヨーティらを影響源に挙げるオークランドの4人組フューチャー・ソウル・バンドのベル・アトラスが、昨年9月にTender Loving Empireと契約して初のフル・アルバムとなる新作『the mystic』を発表。
R&B、ジャズ、アフロ・ポップなどを融合したサイケデリックな音楽性で注目を集める彼らは、2013年頃から活動を始め、同年6月にデビュー・アルバム『Bell Atlas』を自主リリース。2015年に、フューチャー・アイランズ“Little Dreamer”のカバーが話題になり、同年6月のEP『Hyperlust』も“Future Bones”を中心に好評を博しました。
そして昨年9月、Tender Loving Empireとの契約がアナウンスされ、4年ぶりの作品集となったEP『Salt and Soap』で再始動したベル・アトラスが、およそ6年ぶりのアルバム・リリースとなる新作『the mystic』をついに発表したわけです。『Salt and Soap』より“Downpour”、表題曲“The Mystic”が再収録された全10曲。 Amazon iTunes
・Kelsey Lu - 'Blood' (Columbia Records / 2019-04-19)
ソランジュ『A Seat At The Table』を始め、ケレラ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、レディー・ガガ作品などで演奏してきたチェロ奏者であり、ブラッド・オレンジの『Freetown Sound』や『Negro Swan』などでは歌声も聞かせてきたケルシー・ルー。その美貌と個性的なセンスから、ファッション界でも熱い注目を集めており、昨年10月にはジル・サンダー表参道店のオープニング・パーティのために初来日し、パフォーマンスを披露したことも。
Columbia Recordsと契約し、昨年4月にメジャー・デビュー曲“Shades of Blue”を発表した彼女が、ついにメジャー・デビュー・アルバム『Blood』をリリース。 Amazon iTunes
昨年11月に発表された“Due West”は、ロディ・マクドナルド(Rodaidh McDonald)に加え、フランク・オーシャンの“Chanel”やケヴィン・アブストラクト『American Boyfriend』などを手がけてきたマイケル・ウゾウール(Michael Uzowuru)&ジェフ・クラインマン(Jeff Kleinman)のチーム、さらにスクリレックス(Skrillex)ら豪華な顔ぶれがプロデューサー・クレジットに並んでいますが、アルバム全体は、サンファやジ・エックスエックスのプロデュースで知られるロディ・マクドナルドが監修。“Foreign Car”など一部でジェイミー・エックスエックス(Jamie xx)も関わっています。
エイドリアン・ヤング制作の昨年のメジャー・デビュー曲“Shades of Blue”は残念ながら未収録に終わっていますが、アルバムの最後を飾る表題曲“Blood”はエイドリアン・ヤング(Adrian Younge)のプロデュース。
ケイト・ブッシュやビヨークのような世界観も覗かせつつ、ブギー調の“Poor Fake”だったり、10cc “I'm Not In Love”のアンビエントなカバーだったり、しっかりと独自のキャラクターを持ったアーティストであることが分かる作品です。
なお彼女は来月、正式な公演としては初となる単独公演が控えています。5月29日(水)に渋谷WWW Xにて開催予定。エイドリアン・ヤングと組んでいることからも、シネマティックな音が好みなのではと思われますが、果たしてどんなパフォーマンスで魅せてくれるのか。楽しみですね。
・The O'Jays - 'The Last Word' (O'Jays Gigs/S-Curve Records / 2019-04-19)
引退を示唆しているオージェイズの最後のアルバムとされる14年半ぶり新作『The Last Word』が登場。 Amazon iTunes
ベティ・ライト(Betty Wright)に、S-Curveのスティーヴ・グリーンバーグ(Steve Greenberg)、パニック・アット・ザ・ディスコの大ヒット曲“High Hopes”のソングライターのひとりであり、過去にはS*A*M名義でケリー・ローランドやアレステッド・ディヴェロップメントなどをプロデュースしてきたサム・ホランダー(Sam Hollander)、ジョス・ストーン初期作品にも関わったプロデューサー/ミュージシャンのマイク・マンジーニ(Mike Mangini)の4名が共同で全面プロデュース。
中でも“Enjoy Yourself”はブルーノ・マーズ(Bruno Mars)がフィリップ・ローレンス(Phillip Lawrence)らと書き、提供したことで話題です。昨年の時点で米Billboard誌に「ブルーノ・マーズが1曲提供してくれる予定」と予告していましたが、実現したことになります。一方、ギャンブル&ハフとのリユニオンは実現しなかった模様。
ベティ・ライトやサム・ホランダー書き下ろしの楽曲もありつつ、ジミー&ヴェラ(Jimmie & Vella)の“Do You Really Know How I Feel”(1972年)やS-Curve所属の若手マイケル・ブルーム(Michael Bloom)の“I Got You”(2017年)といったカバーもあり、アルバムの最後は彼らの『Back On Top』(1967年)より“I'll Be Sweeter Tomorrow (Than I Was Today)”をセルフ・カバーしています。 Amazon iTunes
・Salaam Remi - 'Grass Is Greener' (Louder Than Life Records / 2019-04-19)
サラーム・レミ全面プロデュース。
ジャズやヒップホップに欠かせない存在であり、近年合法化の動きが活発になるなど(深刻化している、オピオイドなどの麻薬系鎮痛剤の過剰摂取問題の歯止めとなることを期待されて)見直され始めている大麻。アメリカ社会における大麻――マリファナ産業、米政府による「ドラッグとの戦争」、スヌープ・ドッグらヒップホップ界からの合法化運動など――について迫るNetflixドキュメンタリー『グラス・イズ・グリーナー:大麻が見たアメリカ』が配信されましたが、合わせて、このドキュメンタリーのインスパイア盤となる『Grass Is Greener』が登場。 Amazon iTunes
サラーム・レミとのタッグでEP『Stream of Thoughts Vol. 2』を発表したブラック・ソート(Black Thought)を始め、ロックス(The Lox)、スミフン・ウェッスン(Smif-N-Wessun)、バン・B (Bun B)、スティーヴン・マーリー(Stephen Marley)、スプラガ・ベンツ(Spragga Benz)といったヒップホップ~レゲエのベテランを中心に、マイアミ・ソウルの女王ベティ・ライト(Betty Wright)、若手女性ラッパーのニッティ・スコット(Nitty Scott, MC)や、テラス・マーティン(Terrace Martin)、ジェイムズ・ポイザー(James Poyser)らが集結しています。
・Cassandra Lucas - 'Long Way Home - The Intro' (CRC Musik / 2019-04-16)
解散状態となっているチェンジング・フェイセズ(Changing Faces)の片割れであるカサンドラ・ルーカスが、1994年のデビュー以来初となるソロ・アルバムを発売。 Amazon iTunes
2017年には夫らと共に立ち上げた自主レーベル CRC Musikより、ダンサブルな“Music & A Beat”、主を讃える“I Love You”、レゲエ調の“Give Love A Chance”とシングルを続々と発表してきたカサンドラですが、これらは未収録に終わっており、昨年1月に発表したスロウなR&Bチューン“Name On It”を含む全14曲。うーん……熱心なファンでなければ厳しいかも。