2019-05-25

[new music] Eric Benét, Tank & Chris Brown, Ty Dolla $ign + more

・Eric Benét - "Can't Stop" (X5 Music Group/Warner Music Group / 2019-05-10)



エリック・ベネイが“Can't Stop”を発表。これは、2001年にリリース予定だったもののお蔵入りした『Better & Better』のオープニングを飾る“I Can't Stop Thinking About You”を正式にリリースしたもの。  Amazon  iTunes



せっかくならこれを機に『Better & Better』の正式リリース(配信だけでも)を期待したいところですが、TwitterでRTしているとはいえ、本人があまり積極的に宣伝していないことを考えると、ベネイ自身はあまり気乗りしないのかも……。

とは言え、『Better & Better』の楽曲は半数が解禁済でもあり。“Pretty Baby”と“I Wanna Be Loved”が2005年作『Hurricane』に使用されたほか、“Spanish Fly”と“Sing to Me”が2008年作『Love & Life』に、さらに“Trippin'”と表題曲“Better & Better”が2010年作『Lost In Time』のiTunes限定デラックス版に、“Touching Again”が2012年作『The One』のiTunes限定デラックス版に収録されました。
ちなみにマイク・シティ制作の“Better & Better”はレイラ・ハサウェイが2004年作『Outrun The Sky』で歌っていることでも知られますね。







・Tank feat. Chris Brown, Feather & Rahky - "Dirty (Remix)" (R&B Money/Atlantic Recordings / 2019-05-23)



タンクが今年1月に発表した最新シングル“Dirty”に、新たにクリス・ブラウンらが参加したリミックスが登場。  Amazon  iTunes

原曲はカーディアック(Cardiak)がスロウな楽曲でしたが、こちらのリミックスはヒットメイカ(Hitmaka)がプロデュースしているようで、キース・スウェットの“Twisted”より、サビでカット・クロースが歌う「You know you want my lovin'♪」の部分を替え歌して全編で引用。ラーキー嬢がこのパートを担当しているようです。
昨今はゲストを加えただけで「リミックス」と銘打つことが多いですが、こうしてまるっと違う曲に仕上げるあたりは、90年代的な“リミックス”という感じで嬉しいですね。



タンクとクリス・ブラウンは度々共演していますが、“Back to Sleep (Legends Remix)”でタンクが、キース・スウェットと彼の名曲“Nobody”を歌詞に盛り込んだのも記憶に新しいところ。これはオリジナルの“Back to Sleep”が収録された2015年作『Royalty』において同曲のリメイク的な“Who’s Gonna (Nobody)”を発表していたことを意識したものでしょう。ちなみに“Who’s Gonna (Nobody)”は実際にキース・スウェット本人を迎えたバージョンも制作されました。

またタンクは、2017年作『SAVAGE』からのカットとなる、カーディアック制作の“When We”では、トレイ・ソングスとタイ・ダラー・サインを迎えたバージョンを昨年発表して話題になりました。





・Ty Dolla $ign feat. J. Cole - "Purple Emoji" (Atlantic Recordings / 2019-05-20)



タイ・ダラー・サインが新曲“Purple Emoji”を発表。  Amazon  iTunes

テイク6の2006年作『Feel Good』より“More Than Ever”をサンプリングという意外なネタ使いを見せるこの曲、プロデュースはT・マイナス(T-Minus)、そして、ジェイ・プリンスらを手がけ、最近ではレイヴィン・カリ『Leven Kali: Low Tide』(紹介済)でもその才能を見せたオーストラリア発の新鋭プロデューサー/DJであるMXXWLL (マクスウェル)の2名のようです。
J・コールがゲスト参加していますが、カニエ・ウェストの未だ発表されていない『Yandhi』のレコーディングの際にJ・コールと知り合ったのだそう。
ちなみに「紫の絵文字」とは、悪魔の絵文字のことを指しているようです。
完成が近いとされる新作が待たれるところ。

昨年は、2017年作『Beach House 3』のデラックス版と、ジェレマイとのコラボ作『MIH-TY』を発表したTy$。
相変わらずゲスト参加のオファーも絶えず、今年だけでもリル・ドゥヴァル“Pull Up”、KATIE “Remember (Remix)”、24hrs “Back Out”、チェインスモーカーズ“Do You Mean”や、オーガスト・アルシーナ『Forever and A Day』、リッチ・ザ・キッド『The World Is Yours 2』、キング・コムズ『Cyncerely, C3 - EP』、A1『Turbulence』、ウィズ・カリファ『Fly Times, Vol. 1: The Good Fly Young』、ケイシー・ヴェジーズ『Fresh Veggies』、スクールボーイ『Crash Talk』、マルーマ『11:11』から、『ゲーム・オブ・スローンズ』インスパイア企画盤『For The Throne』や、『Empire 成功の代償』劇中曲“This Time”などなど、追いかけるだけでも大変。





・Mikhala Jené feat. Tone Stith - "Stay (Remix)" (Apt. 216 / 2019-05-17)



90年代R&Bを想起させるスタイルで注目される、LAの新進女性シンガー、ミケイラ・ジェネイが、昨年発表した“Stay”に、LAの注目新人トーン・スティスを新たに招いたバージョンを発表。  Amazon  iTunes

初期ティンバランドあたりを思わせるトラックを手がけたのはデピュティ(Deputy)。リアーナの“Bitch Better Have My Money”を始め、J・コールやワーレイらを手がけてきたことで知られるプロデューサーです(元Roc Nation)。
ミケイラ・ジェネイは元々デピュティのバックアップでシーンに登場した新人で、2015年にEP『The Prelude』を限定的にリリース。昨年8月に“Mad Bitches”で商業デビューを果たし、同10月に1st EP『Carolina Blues』を発表していますが、これまでの曲は全てデピュティがプロデュースで関わっています。

なお、デピュティはアリ・レノックスの『Shea Butter Baby』(紹介済)にもプロデューサーとして参加していますが、その縁なのか、ミケイラ・ジェネイはアリ・レノックスの北米ツアーに前座として同行しています。





・Jacquees - "Who's" (Cash Money Records / 2019-05-24)



昨年ようやく発表されたデビュー・アルバム『4275』が素晴らしかったジャクイースが、3月の“Your Place”に続く新曲“Who's”を発表しました。  Amazon  iTunes

プロデュースは、トロイ・テイラー一派としても知られる$Kことジョン・マギー(John "SK" McGee)ら。リル・ベイビーをフィーチャーした“Your Place”も$Kのプロデュースでしたが、いずれも$Kらしく、オーセンティックなR&Bを感じさせる仕上がり。ちなみにこの“Who's”のミュージック・ビデオにはリアル彼女のドゥリージー(Dreezy)が出演しています。

新作『Round 2』を準備中だそうなので、期待が高まりますね。





・RL - "You Are" (515 Music Group / 2019-05-14)



ネクストのRLが、ソロ新曲“You Are”を発表。女性、特にアートワークにも写っている自身の母親や妻、娘のために捧げられた楽曲です。  Amazon  iTunes

2018年に新曲“Want It”を発表したネクストは今年、“引退ツアー”を行う予定だと以前にRLは話しており、複雑ではありますが、いよいよネクストの新作も出たりするのでしょうか……?




・SIDIBE - "Complacement Love" (SIDIBE / 2019-05-10)



ジャネット風のハイトーンと、80年代ブラコンを思わせるサウンドで、生前のプリンスからもお墨付きをもらったLAの新進女性シンガー、シディベが、およそ1年ぶりの新曲“Complacement Love”を発表。  Amazon  iTunes

ジャスティン・ビーバー『Purpose』のプロデューサーのひとりであり、彼女を見出したニコ・スタディ(Nico Stadi)がもちろん今回もプロデュースを担当。またこれまで同様、ウォーリン・キャンベル(Warryn Campbell)やネイト・マーセロー(Nate Mercereau)らが演奏で参加しています。そろそろフル・アルバムも期待したいところですが……

(ハナ・)シディベは、プリンスがTIDALと組んで毎週やっていた「Purple Pick」にて、亡くなる10日前に彼女の“I’m Only For Dreaming”を紹介したことでも知られる若手。コモンの2011年作『The Dreamer/The Believer』やナズの2012年作『Life Is Good』などにコーラスとして参加後、ニコ・スタディに見いだされて2014年にEP『Metaphysical』でデビュー。そして2015年9月に発表した“Maybe”、2016年2月に発表した“I'm Only Dreaming”で注目を集めるようになり、同年4月にこの“I'm Only Dreaming”をプリンスが取り上げたことでも話題に。
日本でも脚光を浴びて、“Maybe”や“I'm Only Dreaming”を収録した2016年のEP『You Got the Luck』を元にした日本企画CD『I'm Only Dreaming』が2017年に発売されています。





・OSHUN - "Stuck" (OSHUN / 2019-05-24)



レ・ヌビアンやジ・サティスファクションあたりを思わせるニューヨークの姉妹デュオ、オーシューン。
昨年4月に待望のデビュー・アルバム『bittersweet vol. 1』を発表した彼女たちが、2014年の7月に発表した“Stuck”を配信スタート。この曲は、リオン・ウェア“Why I Came to California”ネタとなるアフタ・ワン(Afta​-​1)の“4nia (92)”のトラックを拝借したもので、現在も0ドルでダウンロードできる状態ですが、彼女たちにとっても代表的な曲(MVの再生回数は100万回超)であるがゆえか、ここにきて配信が開始されました。  Amazon  iTunes

なお、インディペンデントな彼女たちですが、『bittersweet vol. 1』にはジョージャ・スミスがゲスト参加しています。







・KVNG - "Wrong One" (KVNG / 2019-05-13)



2016年頃から活動しているロンドンの新進R&Bシンガー、キングが、新曲“Wrong One”を発表。今年2月に、90s感ある“Facetime”で商業デビューを果たしたばかりの新人です。  Amazon  iTunes

英国産R&Bを盛り上げる「RnBritUK」の共同創設者でもあったりと、R&B愛が感じられますね。歌声にもオーセンティックなR&Bイズムが滲んでいます。





・Ed Sheeran feat. Chance the Rapper & PnB Rock - "Cross Me" (Asylum Records/Atlantic Recordings UK / 2019-05-24)



エド・シーランが、新作『No.6 Collaborations Project』を7月12日にリリースすることをアナウンス。
これは2011年1月に発表したEP『No.5 Collaborations Project』に続くコラボ企画集で、第一弾として5月にジャスティン・ビーバーとの“I Don't Care”が公開され、今週の全米シングル総合チャート(5月25日付)で初登場2位と大好調。
そして『No.6...』のアナウンスに続けて、第二弾となる、チャンス・ザ・ラッパーをゲストに迎えた新曲“Cross Me”が発表されました。  Amazon  iTunes

マックス・マーティン絡みだった“I Don't Care”とは違い、リタ・オラの“Let Me Love You”やクリーン・バンディット“Solo”といったヒットを手がけたことで知られる英国の新鋭フレッド・ギブソン(Fred Gibson)のプロデュースによる“Cross Me”は、R&B調の楽曲。レーベルメイト(Atlantic)であるピーエンビー・ロックが2017年の「XXL Freshman」に選ばれた際に発表したフリースタイルより、「Anything that she need, she can call me / Don't worry 'bout her, that's my seed, dawg, that's all me / Just know if you cross her then you cross me♪」の部分をサンプリングしています(ロックがフィーチャリングとしてクレジットされているのは、このサンプリングゆえ)。

ちなみにこのサンプリングされたパートは、ピーエンビー・ロックの2017年作『Catch These Vibes』に収録された“Pressure”でも使用されています(というか、“Pressure”がすでに出来ていて、そのリリックをフリースタイルで使ったのでしょう)。



『No.5...』ではワイリーやデルヴィンといった英国グライム勢を中心にコラボしていましたが、あれから8年以上、世界的なスターとなったシーランだけに、『No.6...』はすごいコラボ集となりそう。全15曲を収録予定です。







・GoldLink feat. Maleek Berry & Bibi Bourelly - "Zulu Screams" (2019-05-13)



ゴールドリンクが新曲“Zulu Screams”を発表。  Amazon  iTunes

アフロ・ビート調のこの曲を手がけたのは、ロンドンの新鋭プロ2ジェイ(Pro2jay) aka P2J。ウィズキッドとのコラボでも知られるナイジェリア系英国人アーティストのマリーク・ベリーに、リアーナ“Bitch Better Have My Money”のソングライターとして注目を集めたベルリン出身のビビ・ブレリーをゲストに迎えるという、欧州色の強い布陣です。

Beats 1のインタビューでは、「ニュー・アルバムからの1stシングル」だと説明したそうなので、新作が控えている様子。
昨年6月には、ミゲルをゲストに迎えた、ステレオタイプス制作の“Got Friends”を発表。今年1月にも、ピーウィー・ロングウェイらとの“Got Muscle”をリリースしています。先日は、アンドレ3000とのコラボ曲“Love 3rd”(マット・マーシャンズとスティーヴ・レイシーの制作)の流出が話題になったばかり。これまでも多彩なトラックに乗せてラップを聞かせてきたゴールドリンクだけに、新作がどんな内容になるか期待が高まります。





・River Tiber - "Taurus" (River Tiber / 2019-05-15)



ケイトラナダやバッドバッドナットグッド、またダニエル・シーザーやプッシャー・Tらとのコラボや、ドレイクに自身の楽曲がサンプリングされたことでも知られるカナダの才能、リヴァー・タイバーが、今年初のリリースとなる新曲“Taurus”を発表。  Amazon  iTunes

若い頃はチェロ奏者としてクラシックを学び、高校までにドラム、トロンボーン、ギターと身に付けたマルチ・インストゥルメンタリストにしてプロデューサーである彼、この新曲もセルフ・プロデュースで、ピアノ、ギター、ベース、バイオリンなど演奏もほぼ自演。アディショナル・ボーカル&ギターとして、同じカナダのジャスティン・ノズカ(Justin Nozuka)が関わっています。
年内に2ndアルバムをリリース予定ということで楽しみ。

リヴァー・タイバーことトミー・パクストン・ビーズリー(Tommy Paxton-Beesley)は、バークリー音楽院を卒業後、トロントに戻って本格的に音楽活動をスタートさせ、2013年にEP『The Star Falls』でデビュー。
友人でもあったバッドバッドナットグッドの2014年作『III』への参加をきっかけにフランク・デュークス(Frank Dukes)と知り合い、当時まだ未発表だった“No Talk”をフランク・デュークスがサンプリング。ドレイクの『If You’re Reading This It’s Too Late』(2015年2月発売)にて“No Tellin’”という曲で使用されました。『If You're...』のおよそ2週間後にはリヴァー・タイバーも元の“No Talk”の音源を解禁。“No Talk”は、同年9月にリリースされたEP『When The Time Is Right』や、翌2016年発売のデビュー・アルバム『Indigo』にも収録されています。
アルバム未収録ながら、2016年にはダニエル・シーザーをフィーチャーした“West”(フランク・デュークス関与)、プッシャー・Tとの“Illusions”(ケイトラナダら関与)というシングルも発表済。またケイトラナダのデビュー・アルバム『99.9%』にもゲスト参加しています。





・Sigala & Becky Hill - "Wish You Well" (Ministry of Sound Recordings/B1 Recordings / 2019-05-24)



ジャクソン5 “ABC”を大胆にサンプリングした“Easy Love”(全英チャート2週目で1位)、そしてブリン・クリストファーのソウルフルな歌声をフィーチャーした“Sweet Lovin'”(全英チャート最高3位)で、2015年にトロピカル・ハウスの新星として鮮烈なデビューを飾ったシガラ。

その後ナイル・ロジャースやクレイグ・デイヴィッドらとのコラボを経て、昨年9月にようやくデビュー・アルバム『Brighter Days』を発表した26歳プロデューサー/DJが、『Brighter Days』以降初の新曲となる“Wish You Well”を発表。  Amazon  iTunes
『Brighter Days』にも関わったスウェーデンのジャーリー(Jarly)を共同プロデューサーに迎えており、得意の爽快なハウス・チューンに。ベッキー・ヒルの力強く伸びやかな歌声をフィーチャーし、クワイア的なコーラスの合いの手が入るソウルフルな仕上がりも良いですね。