2019-05-13

[new music] Mary J. Blige & Nas, FlyLo & Anderson .Paak + more

・Mary J. Blige & Nas - "Thriving" (Republic Records / 2019-05-08)



新作3作を同時制作中らしいメアリー・J・ブライジが、ナズとのコラボ新曲を発表。先月、ナズとの合同ツアー〈The Royalty Tour〉を7月~9月に開催することをアナウンスしていましたが、これに合わせてコラボ曲“Thriving”が発表されました。  Amazon  iTunes

プロデュースは、2017年作『Strength of a Woman』にて“Thick Of It”や“Love Yourself”など5曲を手がけたDJ・キャンパー(D.J. Camper)。すっかり気に入られたようですね。
ソングライティングには、モニカの“Commitment”のプロデュースや、ビヨンセ&ジェイ・Z『EVERYTHING IS LOVE』、アリアナ・グランデ『thank u, next』などに関わってきたノヴァ・ウェーヴ(Nova Wav)のふたりが助力しているようです。
サンプリングしているのは、90s後半~00s初頭によくネタにされたラヴ・アンリミテッド(Love Unlimited)の“Under The Influence of Love”(73年作の表題曲)。しかしこうしたアーリー00sっぽい音、増えてますね。





昨年7月にファースト・チョイスのディスコ・クラシック“Dr. Love”をサンプリングした“Only Love”を発表していたメアリー・J。この時、Capitol RecordsからRepublic Recordsへ移籍していたことが明らかになっていました(親会社はどちらもUniversal Music Group)。
そして今年2月にはTV番組で「アルバム2枚を制作中なの」と発言。さらに3月には、A&Rのエディ・フォーセルが、スタジオ・セッションの模様を見せながら「アルバム3枚の同時制作」と言及しており、かつてないほどクリエイティブ・モードに入っている様子。

なお『マッドバウンド 哀しき友情』で女優としても評価されましたが、今年2月には同じくNetflixで出演ドラマ『アンブレラ・アカデミー』が配信。メインキャラクターのひとり、暗殺者のチャチャ役で出演しています。他にも映画/ドラマ出演が続々決まっており、女優仕事の間を縫ってレコーディングに勤しんでいるようですね。





・Flying Lotus feat. Anderson .Paak - "More" (Warp Records / 2019-05-08)



フライング・ロータスが5月24日にリリース予定の新作『Flamagra』より、アンダーソン・パーク参加の新曲“More”が登場。盟友サンダーキャット(Thundercat)も参加しています。  Amazon  iTunes

MVは、『カウボーイビバップ』、『サムライチャンプルー』、『坂道のアポロン』などで知られる渡辺信一郎が監督。両者は昨年、『ブレードランナー ブラックアウト2022』でも組んでいた仲(渡辺が監督、フライローが音楽を担当)。こうした縁もあり、渡辺信一郎が総監督を務める、現在放送中の音楽アニメ『キャロル&チューズデイ』に劇中曲のコンポーザーとしての参加も発表されています。

『Flamagra』からはすでにリトル・ドラゴンをゲストに迎えた“Spontaneous”と、インストの“Takashi”の2曲が先行配信済みのほか、デイヴィッド・リンチをフィーチャーした“Fire Is Coming”の映像も公開中。またアルバムには、ジョージ・クリントンにソランジュ、トロ・イ・モワ、ティエラ・ワック、デンゼル・カリーらも参加しています。





・Jhené Aiko - "Triggered (freestyle)" (Def Jam Recordings / 2019-05-08)



ジェネイ・アイコが新曲“Triggered (freestyle)”を発表。プロデュースは盟友フィスティカフズ(Fisticuffs)に、2017年作『Trip』にも貢献していた若手ジュリアン・クアン・ヴィエット・リー(Julian-Quán Việt Lê)。  iTunes

アイコ嬢は昨年も“Wasted Love Freestyle”を発表していましたが、『Trip』同様、全編フリースタイルでの新作を準備中だとしています。





・Raveena - "Mama" (Moonstone Recordings/EMPIRE / 2019-05-10)



ニューヨークを拠点とする、インド系アメリカ人の女性シンガー・ソングライター、ラヴィーナ(・オーロラ)が、母の日に合わせて母親への感謝を歌う新曲“Mama”を発表しました。  Amazon  iTunes
変わらず、初期コリーヌ・ベイリー・レイや、アリーヤによるアイズリー・ブラザーズ“At Your Best”カバーあたりを彷彿とさせる――彼女は70sソウルと90s R&Bにインスパイアされていると説明されることも――、夢見心地なオーガニック・ソウルが素敵です。プロデュースも変わらず、同じニューヨークのエヴァレット・オー(Everett Orr)によるもの。

ラヴィーナは、2017年に発表した“If Only”がFADERにピックアップされるなど話題となり、あの「COLORS Show」にも出演。300万回以上再生されています。“If Only”を発表した2017年の12月には4曲入りEP『Shanti』をリリース(2018年には3曲を追加したヴァイナル盤も発売)。また、昨年5月に発表した、甘茶ソウル感も漂う“Honey”は、MVの再生回数が100万回を超えるなど人気です。

待望のデビュー・アルバム『Lucid』は今春発売予定だとか。ってもう5月ですけど。





・Shay Lia feat. Buddy - "Voodoo" (N.O.T.E/AWAL / 2019-05-10)



先月はハウシーな“Dangerous”を発表していたカナダの新進女性R&Bシンガー、シェイ・リアがさらなる新曲“Voodoo”を発表。

今回手がけたのは、エヴァン・マイルズ(Evan Miles)とジェフ・ハジン(Jeff Hazin)のコンビ。トーリー・レインズの欧州ツアーにも同行したトロントの注目新進R&Bシンガー、ヨコ・ゴールド(Yoko Gold)の“AYYO”や“Shadows”などを手がけているトロントの若手プロデューサーで、特にエヴァンは2015年、『Coloring Book』制作期にチャンス・ザ・ラッパーと共にスタジオに入った経験があるそう。
ゲスト・アーティストには、コンプトンの気鋭ラッパー、バディが参加。ケイトラナダとのコラボEP『Ocean & Montana』や、スヌープ、エイサップ・ファーグ、Ty$、カリードからブロディ・ブラウン(ブルーノ・マーズ『24K Magic』全曲に関与)、フライロー、サンダーキャット、テラス・マーティンまで参加した『Harlan & Alondra』で知られる若手です。シェイ・リアはケイトラナダが寵愛する歌手でもあるので、彼つながりでリンクしたのでしょう。

なおシェイ・リアは、待望のデビューEP『Dangerous』を24日にリリースすることもアナウンス。先月の“Dangerous”、2017年4月にケイトラナダ(KAYTRANADA)、バッドバッドノットグッド(BADBADNOTGOD)と発表した“Blue”は収録されますが、見込みですが、昨年11月にに発表したサンゴ(Sango)制作の“The Cycle”、今年1月に発表したストゥー(stwo)制作の“Feels”を始め、“What's Your Problem?”、“Cherish”、“Funky Thang”といったケイトラナダと組んだ過去のシングル群などもいずれも未収録に終わる見込みなのは残念。  Amazon  iTunes





・Ryan Ashley feat. Kate Stewart - "INNOCENT" (Ryan Ashley / 2019-05-08)



エメニーケ(MNEK)のコラボレーターとして知られるロンドンの新進R&Bシンガー/プロデューサーのライアン・アシュリーが、英R&B~ポップ・シンガーのKステュワート改めケイト・ステュワートとのデュエット曲“INNOCENT”を発表。エメニーケとライアンとの共同プロデュースで、アリアナ・グランデ似のキュートなケイト・ステュワートの歌声(時にタミアっぽくも)も映える、アーリー00sテイストの1曲。  Amazon  iTunes

ライアン・アシュリーはエメニーケの“At Night (I Think About You)”などのソングライターで、EP『Small Talk』やデビュー・アルバム『Language』にも貢献していた人物。エメニーケがプロデュースしたH.E.R.の“2”にも関わっていました。
2014年にはブロンド“Foolish”のボーカリストを務め、2016年にはシフト・キーの“No Question”にエメニーケと共に参加(プロデュースも)、昨年はサンゴの『In The Comfort Of』収録の“Comfortable”で歌うなど、シンガーとしても頭角を現しており、昨年“CHEST”(ソングライティングでエメニーケ参加)で本格的にデビュー。昨年11月にはトニ・ブラクストン“He Wasn't Man Enough”のカバーも発表していますよ。

なおケイト・ステュワートは、ファビッチのナイスな新曲“Can't Even Be”(紹介済)でも歌っているものと思われます。





・Adrian Marcel - "The Way" (Third Voice Music Group / 2019-05-07)



ラファエル・サディークのバックアップでシーンに登場したオークランドのR&Bシンガー、エイドリアン・マーセルが、新曲“The Way”を発表。
キッドジュピター(KiddJupiter)との共同プロデュースとなるこの曲は、ハイ・ファイヴ(Hi-Five)の90s名曲“I Like The Way (The Kissing Game)”のサビを借用しています。先日のジョーダン・スパークス&イライジャ・ブレイク『1990 Forever』(紹介済)でも同曲ネタはありましたね。

エイドリアン・マーセルは新作『98th』を準備中。2月には、バーナー作品のプロデューサーとして知られるマックス・ペリーらと共に手がけた“Slow Burn”をリリースしています。

なお彼は、6月29日に米TV Oneで放送予定のボビー・デバージ伝記ドラマ『The Bobby DeBarge Story』でジェイムズ・デバージ役で出演しており、新作リリースはこのタイミングに合わせるのかも。『The Bobby DeBarge Story』は他にもロイド(スウィッチのグレゴリー・ウィリアムス役)、ビッグ・ボーイ(ベリー・ゴーディ役)が出演するそうな。







・Salaam Remi & James Fauntleroy - "Sex High" (Lounder Than Life Records / 2019-05-10)



サラーム・レミが、ジェイムズ・フォントルロイと組んだ“Sex High”を配信リリース。この曲、実は2015年にすでにフォントルロイがsoundcloudで公開していたものですが、正式にリリースするにあたってアレンジも変えてますね。



フォントルロイは、ジャスティン・ティンバーレイク『The 20/20 Experience』シリーズのほぼ全曲を始め、ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』(“These Walls”など4曲)、ブルーノ・マーズ『24K Magic』(“That's What I Like”、“Finesse”など7曲)などなどに関わってきたスーパー・ソングライター。soundcloudに数々の音源をアップロードしていますが、(ゲスト参加は数あれど)自身の音源を正式にリリースすることはなく、裏方に徹しています。例外的に、Roc Nationのクリスマス・コンピ『A ROC Christmas』にはソロ音源も収録されています(インタールード的な短さですが)。

2013年に自身名義としては初となるアルバム『ONE: In The Chamber』を発表(昨年、インスト音源付きのデラックス版で再配信)したサラーム・レミは、「Do It for Culture」を掲げ、2016年に、エル・ヴァーナー参加の“Friend Zone”、マック・ワイルズ&ニッティ・スコット参加の“Camouflage”、BJ・ザ・シカゴ・キッド参加の“Cheating on Us”、J・コール不参加バージョンのミゲル“Come Through and Chill”といったシングルを続々リリース。
一時、沈黙していましたが、今年に入って「Do It for Culture 2」が開幕し、ガラント参加の“Roll The Dice”、テラス・マーティンとの“Carrot Juice”、ナズと故エイミー・ワインハウスを迎えた“Find My Love”と発表。新作への期待も高まるところ。

なお、サラーム・レミはこのシリーズとは別に、Netflixドキュメンタリー『グラス・イズ・グリーナー:大麻が見たアメリカ』のインスパイア盤『Grass Is Greener』のプロデュースもしており、ブラック・ソート、ロックス、スミフン、バン・B、ニッティ・スコット、テラス・マーティン、ジェイムズ・ポイザー、ベティ・ライトといった豪華な顔ぶれが集結しています。





・Niia - "If I Cared" (Niia / 2019-05-06)



ロビン・ハンニバル(Robin Hannibal)の全面バックアップで、2017年にAtlanticから『I』でアルバム・デビューを果たしたナイアが、新曲“If I Cared”を発表。  Amazon  iTunes

4月に発表した“Face”同様、引き続きロビン・ハンニバルがプロデュースしていますが、やはり自主リリースになっていますね。
『I』リリース後も、“Nobody”のゴールドリンク参加バージョン“California”のブギー参加バージョン、昨年4月には“Constantly Dissatisfied”のガラント参加バージョンと、『I』収録曲のリミックス展開をAtlanticから積極的に発表していたのですが……





・Davie - "Flavor" (TheSwellCo / 2019-05-10)



2017年にミニマム・ファンクな“Testify”が話題となったニュージャージー出身の新進シンガー/プロデューサー、デイヴィ(ジェイムス・デイヴィッド・トレッドウェル)が、“Testify”路線と言えそうなファンキーな新曲“Flavor”を発表。  Amazon  iTunes

デイヴィは先月末に、アーリー00sの空気も薫るスムースなミッドR&Bチューン“Your Love's A Vibe”を発表したばかりで、間を1週置いての連続リリースとなりました。6月14日に新作『Lesson Learned』をリリースすることも決定していますよ。  Amazon  iTunes









・A$AP Ferg feat. A$AP Rocky - "Pups" (RCA Record / 2019-05-09)



エイサップ・ファーグがロッキーとの新曲“Pups”を発表。  Amazon  iTunes

フランキー・P (Frankie P)制作のこの曲は、ファーグがファンだというDMXの98年ヒット“Get At Me Dog”をサンプリングしたもの。サビもそのまま借用しており、リメイクに近い感じです。ちなみに“Get At Me Dog”そのものは、BT・エクスプレス“Everything Good to You”ネタ。

ファーグは現在、EP『Concrete Chandeliers』を準備中。