2019-05-22

[new music] Kan Sano, m-flo, SIRUP, AI + more

・Kan Sano - 'Ghost Notes' (origami PRODUCTIONS / 2019-05-22)



「DT pt.2」、「Sit At The Piano」といった先行曲がいずれも、今まさに話題のローファイ・ヒップホップ的な響きを持つインストものということで、「Mellow Beats」、「Jazz Vibes」といったSpotify公式の大型プレイリストにピックアップされるなど、国外でもヒットしているKan Sanoが、ついにニュー・アルバム『Ghost Notes』を発表。  Amazon  iTunes

作詞・作曲や、ドラム、ベース、ギター、トランペットなどの演奏、ボーカル、さらにはミックスまで自らこなすKan Sanoの最新作は、「DT pt.2」、「Sit At The Piano」のようなローファイ・ヒップホップなインストものや、「My Girl」のようなジャズ・フュージョン的なブギーもありつつ、原点だというネオ・ソウルの色濃いアルバム。Mikikiでも「20歳くらいの頃に聴いていたネオ・ソウルは自分のなかにしっかり息づいているんですけど、それをちゃんと作品にできていなかったので、今回は一つの形にしておきたいなと思っていました」と話しています。

さらに、アルバムの限定版にはディアンジェロ、アンソニー・ハミルトン、エイドリアナ・エヴァンス、ンデゲからサム・クック、スライ、マーヴィンといった楽曲を取り上げたカバー集のディスク2が同梱されていますよ。



なおKan Sanoは、今月27日(月)に開催されるトム・ミッシュの東京公演(ソールドアウト)および31日(金)のソウル公演で、トム・ミッシュ自身の指名で前座を務めます
トム・ミッシュは2016年11月、自身のお気に入り曲プレイリスト「real good shit」でKan Sanoの「Tenderness」と「Everybody Loves The Sunshine (Original Mix)」をピックアップしており、以前からKan Sanoを注目していたようですね。





・m-flo - "STRSTRK" (AVEX ENTERTAINMENT INC. / 2019-05-22)



LISAが復帰する形で再始動し、精力的にリリースをしているm-floが、トラップ~フューチャー・ベース系の新曲「STRSTRK」を発表。マックス・ヘッドルーム事件を意識したMVの最後には「m-flo 3.0」の文字が出てきており、意味するところは不明ですが、そろそろオリジナル・アルバムも期待できそう?  Amazon  iTunes





・SIRUP - "Evergreen" (2019-05-18)



SIRUPが、いよいよ29日にリリースする1stアルバム『FEEL GOOD』より、新曲「Evergreen」を公開。「Do Well」などを手がけてきた盟友であり、先月公開されていた「POOL」のプロデュースも担当したMori Zentaro(Soulflex)が今回も手がけています。 Amazon  iTunes

なおSIRUPは、アルバム発売日の29日(水)に開催されるトム・ミッシュ大阪公演に前座として出演することも決定しています。





・AI - "Summer Magic" (EMI Records / 2019-05-17)



ラスカルズ(The Rascals)! 昨年末に第二子を出産したAIが、今年11月でデビュー20周年となるという記念イヤーということもあって活動を再開。
その第一弾シングルは、なんとアリアナ・グランデやケラーニ、トニ・ブラクストンなどを手がけるラスカルズとの制作曲。Amazon EchoのCM曲としてすでにお披露目されているこの曲、英語バージョンと日本語バージョンがリリースされています。  Amazon  iTunes

11月には〈AI 20周年記念プレミアムライブ with ゴスペル聖歌隊〉というツアーを東名阪で行う予定ですが、新作も期待できるでしょうか。

ちなみに「デビュー20周年」についてですが、AIは1999年11月20日にデビュー・シングル「Cry, just Cry」をBMGファンハウス(現アリオラジャパン)から発表。
(ちなみにスティング“Shape Of My Heart”を思わせる「Cry, just Cry (Styles "Jazz Technology" Remix)」は未だに限定12インチのみ収録のレア・リミックス)
2001年にデビュー・アルバム『my name is AI』を発表するも、あまり話題になりませんでしたが、2002年に初の女性アーティストとしてDef Jam Japanに移籍。安室奈美恵の変名プロジェクト=SUITE CHICの「Uh Uh......」への客演などで徐々に知名度を上げ、2005年、「Story」によってブレイクを果たしました。「Story」からもう14年も経つんですね……。








・Naz - "Fare" (SENT / 2019-05-10)



『X Factor Okinawa Japan』で発掘され、昨年、冨田ラボの「OCEAN」にフィーチャーされたことで注目された沖縄出身の19歳、Nazが、満を持してデビュー曲「Fare」を発表。  Amazon  iTunes
WONKの江﨑文武がプロデュースしていますが(バックコーラスにはWONKの長塚健斗も)、しかしいい声ですね。

7月24日にデビューEP『JUQCY』がリリース予定となっており、全5曲中、ナンシー・シナトラの“These Boots Are Made for Walkin'”カバーを含む3曲を江﨑が、2曲を冨田恵一(冨田ラボ)がプロデュース。「White Lie」という曲は江﨑が作・編曲で長塚が作詞を担当、また「Clear Skies」という曲は、「OCEAN」同様、冨田が作・編曲、Lori Fineが作詞という体制ですが、このリード曲「Fare」と「Rain Wash」という曲は本人の作詞作曲になっています。

Nazこと山田なづ(『琉神マブヤー』などで知られる脚本家の山田優樹の娘)は、2013年~2014年に放送された『X Factor Okinawa Japan』でベスト9まで勝ち残り(当時中学1年生)、その後、地元でoyashilazというバンドのボーカルを務めたり、2017年にはNabowaの「My Heartbeat (Belongs To You)」に参加するなどを経て、昨年、Naz名義で冨田ラボの活動15周年記念シングル『OCEAN feat. Naz / パスワード feat. 長岡亮介』に抜擢(アルバム『M-P-C "Mentality, Physicality, Computer"』にも収録)。冨田氏も「Nazさんの冨田ラボへの参加は僕自身が切望したものです。それほど彼女の声は魅力に溢れ、また(本当に!)唯一無比なのです」と絶賛しています。
EPがどんな仕上がりになるか注目されますね。英語詞というところからも当然、世界を視野に入れているでしょう。





・millennium parade - "Veil" (PERIMETRON / 2019-05-22)



「白日」がヒットとなっているKing Gnuですが、中心人物たる常田大希によるソロ・プロジェクトであるmillennium paradeが再始動。
2016年に「Daiki Tsuneta Millennium Parade」名義で『http://』を発表し、石若駿や江﨑文武を始め注目の若手が集結したこのアルバムはフライング・ロータスと比較する声も出るなど評判を呼びましたが、「millennium parade」と改めて再始動。4月に「Veil」のミュージック・ビデオが公開されていましたが、5月22日にリキッドルームで開催されるローンチ・パーティに合わせ、ついに「Veil」が配信リリースされました。  Amazon  iTunes





・優河 - 'めぐる' (P-VINE / 2019-05-22)



リード曲「June」が素晴らしかったシンガー・ソングライターの優河 (ゆうが)がミニ・アルバム『めぐる』を発表。
岡田拓郎(ex.森は生きている)がアレンジを手がけた甘美な「June」がやはり秀逸ですが、蒼井優、竹内結子ら出演の映画『長いお別れ』(5月31日公開)の主題歌「めぐる」、オルタナティブR&B的な感触もあるミニマルなプロダクションが響く「sharon」なども良く、フォーキーなテイストにエレクトロニックな音像が夢見心地な気分を演出する、うっとりする20分。それにしても得難い美声ですね。  Amazon  iTunes








・EXILE SHOKICHI - "Ooo!" (AVEX ENTERTAINMENT INC. / 2019-05-15)



ステレオタイプス(The Stereotypes)のプロデュース。
前作から1114日ぶりのリリースということで『1114』と名付けられたEXILE SHOKICHI最新作より、ステレオタイプスがEXILEの制作のために来日した際(この時生まれたのがNJSな「STEP UP」)、余った時間で生まれたという「Ooo!」をご紹介。  Amazon  iTunes

自ら企画書を作ってソロ活動を直談判、というエピソードはジャニーズで言うところの堂本剛を彷彿とさせますが、Koma Dogを率いてSALUをLDHに引っ張ってきたり、BALLISTIK BOYZ「テンハネ」などのソングライティングに関わったりと、LDHにおいても興味深い立ち位置にいますね。





・STY - "DEMO_WorthThePain.wav" (SMLO Music Productions / 2019-05-15)



三代目 J SOUL BROTHERSの「R.Y.U.S.E.I.」、少女時代の「MR.TAXI」を始め、三浦大知、EXILE、Crystal Kayなどのプロデュースで知られるSTY(エスティーワイ)。
最近は自身が全面バックアップしているBananaLemonのプロデュース(紹介済)にも力を入れている彼が、未発表デモ音源を配信開始。
ファイル名そのままな「DEMO_WorthThePain.wav」は、同じDigz所属のMitsu.Jによるギターに合わせた、ミッドテンポの切ないバラード。  Amazon  iTunes
さらに続けて19日には、「DEMO_LoveYou_160705_115-2.wav」が配信。これはBananaLemonの「(KEEP CALM IT'S) GIRLS TIME」の原型と見られるデモで、バナレモとは異なり、80sイタロ・ディスコ風の仕上がり。メロディも変わっていますし、聴き比べるのも楽しそうですね。  Amazon  iTunes







・竹内まりや - "プラスティック・ラブ"



新曲ではありませんが。

シティ・ポップを中心に日本の80s音楽が世界的に評価されつつある近年において、特に話題になっている竹内まりやの「プラスティック・ラブ」(84年作『VARIETY』収録)。  Amazon

竹内まりや作品のデジタル解禁については昨年、デビュー40周年を記念した動きの中で、ベスト盤『Impressions』がAmazon Music Unlimited限定で8月に解禁(今年5月にmoraでも解禁)。
続けて昨年11月より今年3月にかけて、RCA在籍期の初期5作(1stアルバム『BEGINNING』~5thアルバム『Portrait』)のリマスター盤が発売され、同時にこれらも配信。昨年11月には87年のベスト盤『REQUEST』の発売30周年記念でリマスター盤が発売され、一部プラットフォームで配信されるなど、徐々にデジタル解禁へと進んでいますが、しかしまだまだストリーミング未配信のカタログは多い状態。
当然、主にYouTubeを舞台に脚光を浴びた「プラスティック・ラブ」も、VICEなどが特集まで組み、YouTubeで2000万回以上も再生されてたのは、公式ではない音源動画でした。

この「プラスティック・ラブ」の非公式動画は、昨年末に唐突に著作権者による削除され、波紋(あるいは批判)を呼びましたが、こうした状況に対しての処置ということでしょう、ここにきて「プラスティック・ラブ」の新たなミュージック・ビデオが制作され(監督:林響太朗)、17日に公開されました。
しかしこれが、いかにもニッポンなショート・バージョンでのリリース。アーティスト表記や説明欄も英語圏への配慮がまったく無い中、英語コメントが数々(多くがフル・バージョンを求める声)あるというのに、残念というかもったいないというか……。

ちなみに昨年11月の『REQUEST 30th Anniversary Edition』発売時には、500名限定の抽選特典として「プラスティック・ラブ (Extended club mix)」入りの非売品12インチ・シングルが用意されたことも。明らかに同曲への反響については自覚的なはずで、どうせならRSDで発売してもよかったんじゃないかとか思うんですけどね。あるいは「プラスティック・ラブ」だけでもダウンロード/ストリーミング解禁する方法だって悪い手とは思えないのですが……

なお「プラスティック・ラブ」は昨年12月、Friday Night Plans、tofubeatsが相次いでカバーしたことも話題になりました。