2019-05-04

[new music] Tank and the Bangas, Alex Isley, + more

・Tank and the Bangas - 'Green Room' (Verve Forecast / 2019-05-03)



タンク・アンド・ザ・バンガスが待望のメジャー・デビュー・アルバム『Green Room』を発表。

テリアナ“タンク”ボール(Tarriona "Tank" Ball)をリーダーとして2011年に結成されたニューオーリンズのバンドである彼らは、ライブを重ねて地道にファン層を広げ、2013年末に『Think Tank』を自主リリース。「ガンボ」のようにファンク、ゴスペル、ジャズ、ロック、ニューオーリンズ・バウンスなど様々なジャンルが渾然一体となった音楽性と、そのライブ・パフォーマンスで徐々に話題を呼び、2014年にはライブ盤『The Big Bang Theory: Live at Gasa Gasa』も発表しています。

大ファンだと公言するノラ・ジョーンズが彼らのニューオーリンズでの公演にサプライズ出演するなど、ミュージシャンや批評家からの評価も集めていったタンク・アンド・ザ・バンガスですが、転機となったのは2017年。
NPRの人気企画「Tiny Desk Concert」の一般オーディションに挑戦したところ、オーディションの審査員のひとりだったスター・ジー・ボス(元ジー・サティスファクション)にも絶賛され、6000組以上の応募の中から出演権を獲得。そのライブ映像が3月に公開されると、あのチャンス・ザ・ラッパーを始め、一気に彼らへの賛辞が寄せられました。



そして2018年3月、Verve Forecastとのメジャー契約が発表され、4月にはメジャー・デビュー曲“Smoke.Netflix.Chill”を発表。また、レコード・ストア・デイには2017年に録音されたライブ盤『Live Vibes』が発売されるなど一気に動き出し、ついに『Think Tank』以来5年以上ぶりのオリジナル新作であり、メジャー・デビュー・アルバムとなる『Green Room』が発表となったわけです。 Amazon  iTunes



名曲“Smoke.Netflix.Chill”を始めとして本人たちも大部分でプロデュースを担っていますが、さすがはメジャー・デビュー作だけあって、ジャック・スプラッシュ(Jack Splash)、マーク・バトソン(Mark Batson)、ロバート・グラスパー(Robert Glasper)にゼイトーヴェン(Zaytoven)といった豪華な外部プロデューサーも迎えており、“ガンボ・ソウル”な彼らの音楽性をより鮮やかに切り取っています。
一方、アレックス・アイズリー(Alex Isley)、同じニューオーリンズのペル(Pell)と、地に足ついたゲストの人選も素敵です。

なお、やはりと言うべきか、Verve Forecast契約前に自主リリースされた“QUICK”(2017年)は未収録となっています。
しかし、彼らの最大の魅力はやはりライブ・パフォーマンスであり、5月8日に日本盤も出ることを考えると、初来日公演の吉報を早く聞きたいものです。





・Alex Isley - 'The Beauty of Everything, Pt. 2' (Indie / 2019-05-03)



アイズリー・ブラザーズのアーニー・アイズリーの娘……という枕詞はもう不要でしょう。
ULCAでジャズを学び、2012年にセルフ・プロデュース作『The Love/Art Memoirs』を発表してドリーム・ソウルなベッドルーム・サウンドを響かせたアレックス・アイズリー。収録曲“My Theme”はブライソン・ティラーが“Open Interlude”(2015年作『T R A P S O U L』収録)、エルエイが“Hartley Bridge”(2016年作『All Have Fallen』収録)でサンプリングし、他にも“Don’t Do”(バスが“Live For”)、“F.D.A.”(ブライアン・マイケル・コックス“Karma.”)と使用されるなど、非常にミュージシャン人気の高い存在で、ジェシー・ボイキンス三世、ブランドン・ウィリアムス、ディコーダーズ、ケニオン・ディクソン作品にもゲスト参加。上述のタンク・アンド・ザ・バンガス『Green Room』にも呼ばれています。

インディペンデントでマイペースに活動を続けている彼女が、昨年2月に発表したEP『The Beauty of Everything, Pt. 1』の続編となる『The Beauty of Everything, Pt. 2』をリリース。
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今回は、リード曲“We'll Always Have Paris”のプロダクションを、デトロイト出身の21歳女性R&Bシンガー/プロデューサーであるジェイラ・ダーデン(Jayla Darden)に任せているほか、“Road to You”をDマイル(Dernst "D'Mile" Emile II)がプロデュース。また、“Love on-Demand”でTDEのサー(SiR)とデュエットを披露しています。サーとも仲の良いイマン・オマーリ(Iman Omari)もこのEPに関わっているそうですが、どういう関わり方は不明です。





・Jermaine Elliott - 'S2D2' (BrownBoy Basquiat / 2019-05-01)



H.E.R.の“Facts”(2016年のEP『H.E.R. Volume 1』収録)にソングライターとして関わったことでも知られるR&Bシンガー/プロデューサーのJ・エリエイ(J. Eliaye)改めジャーメイン・エリオットが、EP『S2D2』(『Songs 2 Drive 2』)を発表。

ジニュワインの2001年の大ヒット“Differences”を引用する“Tiffany xO”など4曲を収録。トラップ・ソウル的な今様R&Bです。





・Jeremy Zucker & Chelsea Cutler - 'brent' (Republic Records / 2019-05-03)



「soundcloudシンガー」とも呼ばれるなど、ベッドルームで制作したフォーキーな歌とエレクトロニックなサウンドの融合でじわじわと人気を拡大しているニュージャージーの若手シンガー・ソングライター/プロデューサー、ジェレミー・ザッカー。
2016年に自主リリースしたEP『Motion』に収録された“Heavy”をブラックベア(blackbear)が気に入り、“make daddy proud”としてリメイク(後に2017年作『digital druglord』に収録)されるなどもあり、2017年5月にRepublic Recordsとのメジャー契約を獲得。2017年に発表したブラックベアとの“talk is overrated”はMVの再生回数1000万回を超えるなど話題になりました。
昨年は、5月に発表したEP『glisten』から、若者の抑うつについて自身の経験を交えて歌った“all the kids are depressed”が反響を呼び、実際に鬱を経験した人たちを集めたメッセージ性のあるMVもまた話題に。さらに同9月にリリースしたEP『summer,』からは“comethru”が自身のキャリアにおいて最大級の大反響(MV再生回数は4000万回超え)と、着実にステップアップしています。

全てセルフ・プロデュースという才人の彼が、『glisten』の最後を飾った“better off”でコラボしたチェルシー・カトラー(Chelsea Cutler)とのコラボEPを発表。レーベルメイトであるチェルシーもまた自分の曲は基本的に全て自分でプロデュースまでこなしている女性シンガー/プロデューサーで、この『brent』はまさに自然なコラボレーション。チェルシーは、ジェレミーよりもエレクトロ色の強い傾向にありますが、“hello old friend”あたりはそんなチェルシーの色が出たコラボでしょうか。とは言え、2人の個性が絶妙に混ざり合ったEPとなっています。  Amazon  iTunes







・PnB Rock - 'TrapStar Turnt PopStar' (Atlantic Recordings / 2019-05-03)



昨年は、フィーチャリング・クレジットこと無かったもののゲスト参加したエクスエクスエクステンタシオン“changes”が(エクス急死の影響で)全米シングル総合チャート18位まで上昇(再登場)するヒットとなったことでも知られるピーエンビー・ロックが、新作『TrapStar Turnt PopStar』を発表。  Amazon  iTunes

『TrasStar』と『PopStar』のダブル・アルバムという構成になっており、全18曲には故エクスエクスエクステンタシオン(XXXTentacion)、クエヴォ(Quavo)、ディプロ(Diplo)、トーリー・レインズ(Tory Lanez)、リル・ダーク(Lil Durk)、エイ・ブギー・ウィット・ダ・フディ(A Boogie wit da Hoodie)などなどがゲスト参加。去年7月に発表していた“Nowadays”、“ABCD (Friend Zone)”といったシングルも収録されています。
全般的にトラップな今時の作品。

[5/7 update: さらに5曲を追加したデラックス版が登場。リル・ウェイン(Lil Wayne)らが新たに参加しています  Amazon  iTunes ]